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◆小型武器規制の「常識」を疑ってみよう◆

<小型武器による直接的な被害者の大多数は、女性と子ども?>
 
ポリシー・アドバイザーの榎本です。小型武器規制については、NGOなどが常識とみなした「事実」が、研究により覆えることがあります。これから、そんな事例を、シリーズでご紹介できましたらと思います。
 
まずは、「小型武器による直接的な被害者の大多数は、女性と子どもです」という「常識」。これは、1990年代には、多くのNGOや政府機関、国連機関などが、当たり前のことのように語っていました。(日本語では、「小型武器」「被害」「女性」でグーグル検索すると、今も沢山のサイトが出てきます。)しかし、2000年代前半までには、小型武器による直接的な被害(小型武器によって負傷する人の数など)に関する実証的な研究が進むと、実際の被害者の大多数は男性であることが分かりました。
 
新たな研究による事実の修正を受けて、2006年の国連小型武器行動計画履行検討会議では、小型武器が女性や子供にもたらす被害だけでなく、男性にもたらす被害も言及されるようになりました。そして、次第に多くの政策関係者が、小型武器の被害に関して、性別に基づいて社会的に要求される役割などに影響を受ける「ジェンダー」の問題としての側面に注目しはじめたのです。
 
2013年に採択された武器貿易条約(ATT)第7条には、武器の輸出を行う締約国は「ジェンダーに基づく重大な暴力行為および女性と子どもに対する重大な暴力行為の遂行や助長に使われるリスクを考慮する」との文言が盛り込まれました。これにより、ATTは、「ジェンダーに基づく暴力」(gender-based violence)という言葉が盛り込まれた、軍備管理・軍縮分野で初めての条約になりました(「女性と子ども」という文言の前に置かれる形ですが)。
 
その後も、小型武器の問題とジェンダーに関する研究は、進展を続けています。日本では関連の研究者がほとんどいなくて、日本語で読める文献が少ないのが残念ですが、よろしければ英語でフォローしてみてください。
 
【今回の参考文献】
Greene, O. and Marsh, N. (2012) Armed violence within societies, in Greene, O. and Marsh N. (Eds), Small Arms, Crime and Conflict: Global Governance and the Threat of Armed Violence, Routledge, pp. 79-104.
 
【写真】
2015年8月、メキシコで開催されたATT第1回締約国会議にて。メキシコのNGOが、2014年に同国で発生した学生襲撃・失踪事件の被害者のパネルを傍聴席に置いた。
撮影:榎本珠良
画像に含まれている可能性があるもの:7人
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